一般的に、許可申請をして許可が下りたら
「あとは野となれ山となれ。ヒャッホ~ウ、営業開始だ!」
となるものですが、一般貨物自動車運送の許可はそうではありません。
なんと許可が下りたあと、運輸開始までの間に許可が取り消される場合があります!
運輸開始ができないのでなく、許可の取り下げ(廃業届出)でもなく、許可が取り消されるのです。
どういった理由で取り消されるのか
許可が取り消される事案は「許可申請と違った車両を準備した」ことに起因します。
許可申請は平たく言えば
「こういった計画で事業を行うので、許可をください」
というものです。これは運輸開始届出を提出するまで有効です。
許可申請の手続きは許可が下りたあと、
- 運行管理者・整備管理者選任届の提出
- 運輸開始前報告の提出
- 連絡書発行
- 運賃・料金設定届出の提出
- 運輸開始届出の提出
と手続きが続きます。
この運輸開始前報告で「運転者の確保」「運転者の社会保険加入」「運行管理者・整備管理者選任届出の提出」の人員確保確認が行われます。
人員確保の確認が終わって初めて、「許可申請で提示した車両の車検証」を添えて緑ナンバーに変える連絡書を発行してもらうことになります。
このときに持ってきた車検証が申請時のものと別の車両だった場合、ストップがかかります。
申請時、運転者や運行管理者・整備管理者は確保予定で構いません。
けれども営業所、車庫、車両は
「確保したこれらで事業を行います」
という形になっています。「これから確保する・確保予定の」ではありません。確保済みであることです。
資金計画では
- 営業所の賃料いくら
- 車庫の賃料いくら
- 車両の取得費、税金、保険料がそれぞれいくら
を計上します。
もし車両が違えば※、審査上「資金計画で計上した以上の取得費用がかかっているかもしれない」という疑いが生じます。
※車両は、車検証の「車台番号」で個体識別されています。
審査基準には、資金体力を計るため一定期間手持ち現金が資金計画を上回っていること、という項目があります。
いつの時点で取得していればいいかというと、申請日より前です。
申請日以降に取得した費用は、例え一括払いしたとしても資金計画の取得費に計上しなければなりません。
手持ち現金が資金計画を上回っていれば何もないのだけれども、下回ってしまえば「資金不足」の烙印をおされ、不許可になります。
それで運輸局は「申請を取り下げますか?」と一応、こちらを立ててくれます。
これは許可後も同じで、開始前報告で「申請のために用意した車両はボロだったから新しいのに買い替えた車両」を提示しようものなら「その取得費、ちょっと計上してみてください」となるのです。
まだ申請時の車両が手持ちにあれば、「間違えました」にできるでしょう。
けれども例えば
・譲ってもらう予定の車両が事故で廃車になった
・買い替えた車両は下取りに出した
こういった場合はどうにもならなくなるので、おとなしく取得費を計上しなければなりません。
再申請の道はあるけれど
再申請すればまた最初からです。これまで投入した時間がすべて無駄になります。
ルールはルールなので、再申請をしなければ許可取得ができないこともあるでしょう。
しかし、新たに車両購入費を計上すること=購入額分の手持ち現金の目減りだったりするので、手持ち現金が資金計画を上回ることが難しくなっていることもしばしばです。
申請に不足する分は融資等借入金を使って資金調達するしかなく、できない場合は再申請自体が暗礁に乗り上げることもあります。
このあたりの情報は手引きに書いていなかったりするので、落とし穴になっています。
この話は資金計画の額を下げるために「許可申請は見せ車両としてボロ車を用意、許可が下りたら本命に入替え」を予定していて、入替のタイミングを間違えて発覚しています。
車両を入れ替えれるのは、運輸開始届を提出した後だけです。
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