2022年9月18日~20日は台風14号の影響で鉄道・船舶・航空は運航の取りやめ、一部の高速道も通行禁止になりました。このあたりは事故防止のために仕方がない面があります。
しかしながら便が欠航することで輸送スケジュールを組み直さなければならないのは運行管理者さまには頭の痛い問題でしょう。
モーダルシフトと言うけれど
貨物自動車による陸送は働き方改革の影響、いわゆる2024年問題によってますます労務のコンプライアンス遵守が難しくなります。
そこで国土交通省は効率的な大量輸送を目指してモーダルシフトを促そうとしています。これは労務や物流効率化の問題だけでなくCO2排出削減政策(カーボンニュートラル)の実現も目指しています。
国土交通省は2022年3月から「今後の鉄道物流のあり方に関する検討会」を開き、7月に中間とりまとめを発表しています。
検討会はこれまで5回開催されています。各回の議事録が公表されておりダウンロードもできます。各社の取組事例も紹介されていますのでご興味ある方はぜひ。
わたしは運送業の行政手続きを主たる業務に据えていますが運送業そのものに詳しくないため、少しでもお客様の立場に近づくため、こういったものにも目を通すようにしています。
さて、議事録に目を通すと貨物鉄道輸送の課題が浮き彫りになっています。
貨物鉄道輸送の課題
災害に弱い
2018年に西日本豪雨災害が起きました。わたしが住む岡山県も大きな被害がでました。これは西日本各地で土砂崩れを引き起こし、鉄道網を寸断していきました。岡山県を東西に貫くJR山陽本線も広島県内でかなりの期間、不通だったと記憶しています。ちょうどこの頃、わたしも試験を受けるために電車で移動予定だったのですが電車が止まったままで仕方なく車で移動したことを覚えています。
きっとこの災害に端を発しているのでしょうが、2018年を皮切りに鉄道貨物の輸送量は年々下がっているそうです。たしかにこの災害以降、天候不順を理由に予定運休が増えた気がします。
鉄道が動かないなら代替手段を使って輸送しなければなりません。そうなると貨物自動車の出番になってしまいます。先の集計データでは、このとき失った鉄道貨物が戻っていないのが現状です。
コンテナの互換性
国際海上コンテナとの互換性も問題になっているようです。海陸一貫輸送への対応するためには国際海上コンテナ規格(40ft背高)のために低床貨車を増やさないといけないそうです。また海運に限らないのですが定刻発車があだとなっていて、タイミングが合わないという問題もあります。JR貨物も便数も安易に増やせない事情があるらしく、この辺の使い勝手の悪さも理由に上がっていました。
もちろん港湾から貨物駅までの陸送はコンテナ専用トラックを用意する必要があり、中小規模一般貨物運送事業者が全体の7割以上を占めている現状で、これの購入を求めるのも資金体力としてどうか、という問題もあります。
利用貨物の許認可を取得するべきか?
どうにも運送業の現状に対して政策の方が後手に回っている印象を受けます。それでも選択肢は多く持つ方が先約の幅が広がるはずです。
一貫輸送のうち複数のモードを使う場合は利用運送の許可が必要ですが、単体のモードでは登録だけで済むので検討する余地はあると思います。
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