貨物運送事業のうち、自ら運送をしないで他の運送事業者に実運送を業務委託する形態を貨物利用運送と言います。業務委託といっても「紹介」ではなく、荷主に対して自らの責任で運送を約束し、実務を他の実運送事業者に外注することをいいます。

利用運送といっても、自動車・鉄道・船舶・航空の運送モードのうち一つだけを業務委託するのが第一種利用運送、二つ以上のモードで業務委託するのが第二種利用運送となります。

利用運送事業を始めようとするなら許認可の申請が必要です。一般貨物の事業者であればほとんどが自動車モードでの利用運送になると思います。

第一種利用運送については一般貨物自動車運送事業の経営許可を取得している場合とそうでない場合では手続きが異なります。

 

第一種貨物利用運送の手続き:一般貨物許可を取得していない場合

一般貨物自動車運送の許可を取得していない場合は、第一種貨物利用運送事業登録申請を提出します。期間は2~3か月かかります。

一般貨物自動車運送事業の経営許可申請と異なる点は次の3点です。

  • 他の実運送事業者と運送業務委託契約を結んでいること(運送業務委託契約書の写しが必要)
  • 保管施設(※貨物利用運送のみに使われる施設です)がある場合はその図面など
  • 資産要件として個人であれば300万円以上の現金、法人は300万円以上の純資産(貸借対照表)※純資産=総資産-創業費その他の繰延資産・営業権-総負債

登録免許税として9万円の納付が必要になります。

 

第一種貨物利用運送の手続き:一般貨物許可を取得している場合

一般貨物自動車運送事業者の場合は事業計画変更の認可申請になります。このため登録免許税は必要ありません。資産調査もありません。変更認可なので1~2か月かかります。

そのほか申請に必要になるのは上記と変わらないのですが1点だけ、事業報告書・事業実績報告書が提出してあることが必須になります。これをしていないと事業計画の変更が認められません。この点だけは定例業務ですので忘れないようにしましょう。

 

第二種貨物利用運送の手続き

第二種貨物利用運送事業は一般貨物許可の有無にかかわらず許可申請になります。期間は3~4か月かかります。

申請書類は一般貨物自動車運送事業許可と似たものが多いですが加えて上記のものと

  • 集配計画書

が必要になります。資産要件は第一種と同じです。

作成する書類について注意事項がアナウンスされています。例えば

  • 契約書に必要事項が記載されているか
  • 運送に係る貨物利用運送事業についての組織・体制に関する資料

などが求められます。

集配業務を自ら行うのか、他者へ委託するのかで記載内容も変わってきます。

登録免許税として12万円の納付が必要になります。

 

いま運送業は人手不足、燃料費高騰、拘束時間の上限抑制、カーボンニュートラルなどの問題で厳しい状況にあります。

運輸行政も大量かつ低CO₂排出を目指して自動車による長距離輸送から鉄道・船舶によるモーダルシフトを後押ししています。けれども使い勝手の面でまだまだ課題は山積の状態にあります。

それでも生産性を上げることを目指していかないと、存続が難しい状況にあることは変わりません。

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