一般貨物の新規許可申請で事実上の参入障壁になっているのが資金計画だと思います。経費の費目ごとに6か月~1年分の必要資金を試算しなければならないうえ、申請から許可がおりる直前までのあいだ、その必要資金を上回る現金を保持し続けなければならないからです。
おそらく1,500万円以上あれば、余裕をもって申請できることでしょう。けれども
- 融資が決定されても、申請前に入金されない
- 審査の途中で、増額の補正を求められるかもしれない
- 預金残高を下げられないのが辛い
こうしたことが予想されるため、資産計画の必要資金はできるだけ下げたいと考えるのは当然のことです。
経費は大きく分けて3つ
資金計画の経費費目は大きく分けて3つです。一つ目は人件費。これには従業員の給与だけでなく役員報酬や社会保険等の法定福利費も含まれます。二つ目は施設費。営業所、車庫、車両に係る費用です。車両には税金や自賠責・任意保険料も含まれます。三つ目は燃料費や修繕費といった諸経費になります。
この中から額面を動かせるものを探していきます。
人件費について
運輸行政は、従業員の労働環境の向上を重視しています。社会保険の加入は必須なので、中国運輸局のウェブサイトからダウンロードできる書式では給与額から自動入力されます。
さて人数ですが、基本的には運行管理者1名+運転者5名の6人体制で申請します。整備管理者は6人のうち誰かに兼任させます。
従業員の給与月額は【県の最低賃金以上】×【1日の拘束時間】×【月の出勤日数】です。社会保険加入は絶対条件なので、社会保険加入義務から外れるような申請は認められません。
県の最低賃金はきちんと定められているので、県のウェブサイトで確認できます。
1日の拘束時間は【就労8時間+休憩1時間】となるでしょう。
人件費で下げられる費目は事業者判断になる次のとおりです。
出勤日数は事業所判断となりますので、予定日数で構いません。運輸局としては少なくとも20日前後で申請して欲しいとのことです。
手当も事業者判断です。実際に手当を支給するとしても0円で申請できます。
賞与も事業者判断です。実際にボーナスを支給するとしても0円で申請できます。
役員報酬も事業所判断です。役員報酬は営業利益やスタートアップによって左右されることが多いことから、従業員給与ほど重要視されません。最低賃金を割ってしまっても、説得力あるストーリーを描くことができるかがカギになります。
施設費について
おそらく営業所と車庫の経費について額面を動かせることは無いと考えます。動かせるとしたら車両費です。
車両費には取得費、自動車税、重量税、環境性能割、自賠責保険、任意保険の1年分の合計額になります。任意保険は事業用で、対人無制限・対物200万円以上の条件になります。
税金や保険関係は車両の規格に連動することになるので、車両の種類と取得費がカギになります。
ここがどうしても膨らんでしまうようなら最初からの大型トラックは諦めて、
- とりあえず5ナンバーの古いバンで数を揃えて全体の額面を下げる
- 運輸開始後に5ナンバー車の減車+大型トラックの増車手続きで車両の入れ替えをする
といった回り道も必要になるかもしれません。
諸経費について
燃料費と修繕費なります。修繕費はタイヤの交換頻度を想定して計上をすればよいでしょう。
一番額面が動くのは燃料費で、【ひと月の走行km】×台数分×【1ℓあたりの燃費km】×1ℓあたりの燃料単価×6か月の式になります。
燃料費は時価になるので事業判断で動かせるのはひと月の走行kmで、【1日の予定走行km】×【出勤日数】で1台当たりが試算できます。
近場なら1日当たりどの程度走るのか目安があれば、それを式に代入すればよいでしょう。走行kmが短くても、納得のストーリーがあれば問題ありません。
試算根拠を付けておくと便利です。
以上のように、事業判断できるところの費目で額面を動かして下げることができます。あくまで計画なので、許可後にこのとおりにしなければならないなんてことはありません。
申請添付書類チェックシートには書かれていませんが、審査員に分かりやすく説明するため、試算根拠となる考えを資産計画に着けておくとスムーズかもしれません。
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