手間も時間もお金もかかります。

最初に申し上げるのは、市街化調整区域に営業所を構えるのはお勧めできません。

市街化調整区域に一般貨物運送事業の営業所を構えることは法令の規制により難しいのが現状です。けれど、絶対にできないというわけではありません。できないわけではないけれど自治体によって差が生じますし、手続きは二重三重とかなり煩雑になるので、あまり期待もできません。

許認可の審査で運輸局は自治体に照会するのでごまかしがききません。とくに営業所新設認可は許可取得時よりも厳しめに審査するとのことらしいです。運送業は他の業種にくらべ監督官庁が存在するため、違反がバレればすぐに適正化を求められます。

それでも正規の手順に従った場合のことを触れたいと思います。

なお、運輸局に確認したところ、営業所とは登記された建築物でないとダメという審査基準があり、プレハブ小屋を置いただけのものは認められないとのことです。

 

既存建物を利用する方法①

市街化調整区域に建築物を建てる場合、開発許可が必要になります。そこで事業用目的ですでに開発許可が下りている建物を自己所有することで営業所に使える可能性があります。

なお所有とは買い取りや譲渡してもらうことで、不動産登記簿に所有権者として登記してもらう必要があります。賃貸借では条件を満たせません。

しかしながら、業種によってはそこでの営業に難色を示す自治体もあるので事前確認は必要になります。例を挙げると、自転車修理業なら認めるけれど自動車販売は認めない、という感じです。

 

既存建物を利用する方法②

住宅兼事務所として申請することになります。おそらく住宅は開発許可を経て建てられている(または規制がかかる前から存在している)はずです。

しかしながら事務所として使うにあたって建物の用途変更にともなって改めて開発許可を取る必要があり、加えて事務所として建築基準法に適合しているか検査を受けなければなりません。

これは専用住宅から住宅兼事務所へ建物の用途目的が変わるからです。

こういった手続きだけで数カ月かかります。

これも所有者名義が申請者本人でなければならず、場合によってはその住宅兼事務所に住むことが条件に付される場合があります。

このため事業主さまの自宅兼事務所だと可能性は比較的高いです。

 

トレーラーハウスを利用する方法

建築物があるために開発許可や建築物検査が必要になるので、回避策として建築物でないトレーラーハウスを営業所として利用しようという方法です。トレーラーハウスは被けん引車両なので、車庫のときと同じく市街化調整区域にも置くことができます。

ただしこれも、自治体によっては絶対に認めないところもあれば、前例がないために消極的なところもあります。一方、認めてくれるところもあります。

これらの手続きについて、日本トレーラーハウス協会が一手に引き受けて下さるそうなので、興味がある方は一度相談されてみてはいかがでしょうか。ただし、必ず認めてもらえる保証はなく、残念な結果に終わったとしても実費としてお支払いした料金は返金されないそうです。

認められたとして、すぐに移動できることは条件に付されるでしょうから①車両としていつでも走行できる状態のこと=車検を必ず受けること ②電気・ガス・水道がワンタッチで切り離せる構造になっていること ぐらいは最低限の条件になると思います。

欠点が少々あるそうで、例えば風で揺れやすいとか、夏冬の暑さ寒さの断熱が心許ないなど、使用感としてどうしても不満点は出て来るそうです。

 

 

イチから開発許可をとる方法について、弊所は自治体に問い合わせたことが無いので詳しくはないのですが、運送業が市街化調整区域に営業所を出すのは難しいのではないでしょうか。業種によっては周辺住民の生活福祉に資すると認められる業種もあるようですが…

以上のように市街化調整区域に営業所を構えられなくもないけれどそのハードルは高いため、費用対効果を考えて候補地選びをしていただけたらと思います。

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